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第3回JAIMA・JSIA「分析機器・科学機器遺産」認定事業にて「むつ鉄を使用した低バックグラウンド大型遮蔽体による放射化分析用γ線測定装置」が選定
~旧日本海軍の戦艦陸奥(むつ)が姿を変え、今も現役で稼働~
東京都市大学(東京都世田谷区 学長:北澤 宏一)では、一般社団法人日本分析機器工業会JAIMA (東京都千代田区 会長:服部 重彦/株式会社島津製作所 代表取締役会長)と一般社団法人日本科学機器協会JSIA (東京都中央区 会長:矢澤 英人/株式会社ダルトン代表取締役社長)の主催による、第3回「分析機器・科学機器遺産」認定事業において、本学が申請した「むつ鉄を使用した低バックグラウンド大型遮蔽体による放射化分析用γ線測定装置」が選定されましたのでお知らせいたします。
今回、遺産登録に認定された本学の放射化分析装置は、1974年に制作されたもので、その検出器周辺の遮蔽体は、沈没した旧日本海軍の戦艦陸奥(むつ)から引き上げられた鉄の一部“むつ鉄”※1と鉛で構成されており、自然放射線を遮断し、低いレベルの放射能を測定でき、本学で開発したγ線測定解析システム(GAMAシステム)により、測定から解析までをオンラインで行ってきました。現在、測定・解析システムは入替しましたが、検出器周辺の遮蔽体はそのまま用い、環境放射能測定用として、特に2011年に発生した福島第一原子力発電所事故以降は飛散した放射性物質や放射能測定用認証標準物質開発のための放射能測定などに利用され、社会にその成果を数多く提供・貢献しております。
この認定事業は、日本国民の生活・経済・教育・文化に貢献した貴重な分析技術/分析機器や科学機器を、文化的遺産として後世に伝えることを目的に、2012年度より開始されたもので、今回、第 3回目として、本学を含め、16件(第1回20件, 第2回15件)が認定されております。なお、9月 3 日(水)から5日(金)まで幕張メッセで開催する展示会 JASIS 2014の会期中には、展示会場内で、本学の装置のレプリカ(同寸のタペストリー)の展示を行います。
東京都市大学「むつ鉄を使用した低バックグラウンド大型遮蔽体による放射化分析用γ線測定装置」の詳細は以下の通りです。
※1:「むつ鉄」は、沈没した旧日本海軍の戦艦陸奥から引き上げられた鉄の一部であり、現代の鉄と異なり戦前の鉄には放射性コバルトが含有されていなく、また、充分厚みを確保できることから遮蔽体としてふさわしい材質である。戦後の鉄材には高炉の耐火煉瓦の消耗を測定するため、人工の放射性コバルトが使用され、その一部が鉄材に混入し、バックグラウンドを上げ、微量な放射能測定には適さない。
東京都市大学 「むつ鉄を使用した低バックグラウンド大型遮蔽体による放射化分析用γ線測定装置」 装置概要
■装置名: むつ鉄を使用した低バックグラウンド大型遮蔽体による放射化分析用γ線測定装置
■保存場所:東京都市大学原子力研究所
神奈川県川崎市麻生区王禅寺971 電話:044-966-6131 ウェブサイト:http://atomsun2.atom.tcu.ac.jp/
■特徴:
本装置は、研究用原子炉(武蔵工大炉)が稼働時には、中性子放射化分析用として多くの成果を生み出してきましたが、現在は環境放射能測定用として、特に2011年に発生した福島第一原子力発電所事故以降は飛散した放射性物質や放射能測定用認証標準物質開発の放射能測定などに利用され、社会にその成果を数多く提供・貢献しています。
この装置の検出器周辺の遮蔽体は「むつ鉄」で構成され、1974年に製作されたものです。
「むつ鉄」は、沈没した旧日本海軍の戦艦陸奥(むつ)から引き上げられた鉄の一部であり、現代の鉄と異なり、戦前の鉄には放射性コバルトが含有されていなく、また、充分厚みを確保できることから遮蔽体としてふさわしい材質です。(戦後の鉄材には高炉の耐火煉瓦の消耗を測定するため、人工の放射性コバルトが使用され、その一部が鉄材に混入し、バックグラウンドを上げ、微量な放射能測定には適さない。)
遮蔽体の大きさは、高さ1195mm・幅690mm・奥行き700mmで、各面の厚さは、鉛150mm(外側)とむつ鉄75mm(内側)から構成され、本邦で類をみない大きさと高性能の低バックグラウンド性を有しています。遮蔽体内外でのバックグラウンドの比は、約1/100になっているため、超微量な放射能を測定に欠かせない装置です。遮蔽体内には、γ線検出用のGe検出器と井戸型NaI(Tl)検出器が設置され、一般測定法や同時計数法・反同時計数法を行い、特定核種の微量レベルをさらに低減することが可能です。
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~本件に関するお問い合わせ先~
東京都市大学 原子力研究所 准教授 岡田 往子
Tel:044-966-6131